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What's 'IM'?

―コレマデ ト コレカラ ―

ごめんさない。そして、ありがとう。そして願わくば、よろしく。

 33号掲載。巻頭ページに続いて載せた文章。『IM』を休刊した理由、そして今後の予定について、分かり易さを心掛けて書き綴った。
「MESSAGE-2004.05.22」まで封じていたスタッフの事を除けば、『IM』復刊に際して当時オレが伝えたかったことは、ここで全て述べているといっていいだろう。
 そして、ここで書いた考えは、今も全く変わっていない。ただひとつの例外:34号の発行予定を別にすれば・・・。<2004.6.30 記>




ごめんなさい。そして、ありがとう。そして願わくば、よろしく。

■まず、はじめに。
 ごぶさたしてました。identity market代表・宮原春萌です。
 一昨年の11月、32号を最後にIMを休刊して1年半が経ちました。その間2回も復刊を告知しておきながら約束を守れなかったことを、まずみなさんにお詫び申し上げます。特に33号のためにテキストやイラストを寄せて頂いた方々や資金のご協力を頂いた方々に対しては、期待を裏切り続け本当に申し訳ありませんでした。ごめんなさい。

 しかし、そんなテイラクぶりにもかかわらず、本当に多くのみなさんから「IM復活待ってます」と声をかけ続けて頂きました。その声にどんなに励まされ続けて来たことか・・・。この場にてお礼申し上げます。ありがとう。

■休刊した本当の理由。
 IMを休刊した直接のきっかけは、32号で書いた通り発行資金の問題でした。しかし私をよく知る人や昔からのIMの読者ならば気付いた人も多いと思いますが、IMを休刊した本当の理由は資金が不足したからではありません。自分で言うのも何ですが、IMは5年以上もの間スポンサーを確保し続け、隔月の発行日に一度も遅れることなく発行し続けてきたフリーペーパーです。やろうと思えば発行し続けることは出来ました。
 ・・・・・・しかし、そうしなかった。あえて休刊に甘んじた、・・・・・・ということです。

 IM創刊から約7年。たった7年。しかし世紀をまたぐこの7年の間に、世界も日本も恐ろしい程のスピードで変化していきました。人間関係のベースとなるコミュニケーション手段ですら、携帯電話や電子メールの普及によって様代わりしてしまいました。またIMを直接とりまく環境も変わりました。スタッフも、配布エリアも、配布店も、そして何よりも今この文章を書いている私自身も大きく変わりました。

 IMは色々な人の参加があってはじめて成立するフリーペーパーです。望む望まないにかかわらず、常にその時代の「いま」を反映し、また対応してきました。しかし2ヶ月に1回という継続性の中では(具体的な例はここでは省きますが)対応できない変化も生じます。対応できない変化が次第に積み重なり、30号を迎えた頃から世の中とIMの間にズレを感じるようになりました。そしてそのズレに対する迷いがIMの編集や運営に支障をきたすようになった31号(この号は今までの33冊のIMの中で唯一、自信をもって世に送り出せなかった号です)の時に、いずれIMを休刊し立て直しを図ろうという決意をしました。ちょうどその時米国がアフガニスタンに対する空爆を始め、急遽32号をそれに対する特別編集号としたのを契機にIM休刊の決断をした。・・・・・・これがIM休刊の本当の理由です。


これからのIM。
「もっと主張しよう!/もっとコミュニケイトしよう!/あなたが、そして、日本が/もうこれ以上/死人にならないために・・・」
IMの根底は今後も変わりません。これが変わる時は「identity market」の看板を下ろします。でもあえて言うなら、「そして日本が」が「そして世界が」に変わります。かつてより私は「このままでは日本はヤバイ」という危機感は持っていました。しかし世界の将来については楽観視してました。戦争も弾圧も差別も、紆余曲折を経ながらも徐々に克服されていくと楽観的に考えていました。おととし9月、ツインタワーが崩れる映像を見ている時までは・・・・・・。

 しかしその後のアメリカの反応は私の楽観を打ち砕くものでした。そしてジョン・レノンの『イマジン』が放送禁止になったと聞いた時、アメリカが間違った方向に進みつつあることを確信しました。それから1年半、アメリカは「報復」どころか「先制攻撃」まで行使する「帝国」になってしまいました。世界はそれを止められませんでした。「反対」が「黙認」になり、「黙認」が「賛成」になり、「賛成」が「賛同」になり、そしていずれ自らも「帝国」を目指すようになる・・・・・100年前の悲劇の再来さえ杞憂と断言できない事態です。

 アメリカに媚びへつらい追従するだけの日本にも失望しました。世界有数の力を持ち、アメリカの「友好国」であり、キリスト教でもイスラム教でもユダヤ教でもなく、アメリカに原爆を落された唯一の国・・・・・・日本は世界で最もアメリカに異議を唱えるべき立場にある国です。その日本がアメリカ追従一辺倒であることが世界にどれだけ悪影響を与えているか?そんな議論さえ起こらない日本、そして日本人に失望しました。

「日本を変える」から「世界を変えるために日本を変える」へ。
 もちろん私の力、IMの力だけでそれが実現できるとは思っていません。しかし選挙の1票が何万分の1であっても1票の積み重ねであるように、社会のどんな出来事も1人の行動の積み重ねの結果です。無力だと思って誰も動かなければ、いつまでたっても何も変わりません。だから私はIMを作ります。目標は大きくそしてますます遠くなりましたが、私はまたIMを作ります。


■立て直し。そして願わくば、よろしく。
 IMの目標が大きくなった以上、IMもパワーアップしなければなりません。
 前述の通り7年の間に生じたズレも修正しなければなりません。1年半の休刊で失った(あるいは捨てた)ものもあります。よって今年はIMの体制立て直しに専念させて頂きます。

 いまあなたに読んで頂いているこの33号。この号は今までのIMに対するけじめと今後に向けてのごあいさつです。「けじめ」と「ごあいさつ」ですから、(金銭的には苦しいのですが)外部スポンサーなしで作りました。過去に製作を進めていた分を除き、編集製作も私1人で行いました。だからこの33号は今までになく個人的な―IM代表・宮原春萌の個人的な―IMになってます。しかし、逃げ道を断ち裸のIMを見せること、それが再びスタートラインに立つための最低限のおとしまえだと肝に命じて作りました。

 この33号を以って、私はIMを世に問います。スタッフ、ライター、スポンサー、配布店、そして何よりも読者。全ての人から批評を受ける覚悟です。
 そしてパワーアップのために体制を立て直します。
 今までのように長い目でスタッフを育てることはできません。ごめんなさい。
 戦争に賛成するスポンサーはお断りします。ごめんなさい。
 IMに無関心な店への配布は打ち切らせて頂きます。ごめんなさい。

 これから半年間、私はIMの主旨に本当に賛同して頂ける人や店、本当に協力して頂ける人や店を探します。そして体制を立て直して今年の11月に34号を発行します。その後来年以降は、3月、7月、11月の年3回の発行にする予定です。

 これからのIMが今までの読者の期待に答えられるかどうかは分かりません。外見はあまり変わりませんが、IMをとりまく環境、そしてIMの根底に流れるスピリットが大きく変わるからです。しかしこの変化は、私が1年半の休刊を経て辿り着いた結果です。世の中に対し何を問えるか?何を変えようとしていくか?  そう自問し続けて辿り着いた結論です。どんなに期待を裏切ろうとも、信念を以ってIMは変わります。新しいIMがみなさんに受け入れられ、心のどこかに届いてくれることを願います。

 そしていつか、今この文章を読んでいるあなたとも「よろしく」と握手したい・・・・・・そう願っています。

2003.5.23 宮原春萌(identity market代表)
<『IM...identity market 33』(2003.6.1.発行)より転載>

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