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熟蔵

Sea,Sky,and D

海の青さに触れたくて
浜辺で波をすくい取る
けれども触れたその瞬間
海の青さは消えていた

空の青さに触れたくて
野山で風をすくい取る
けれども触れたその瞬間
空の青さは消えていた



いくら癒しを求めても
青は決して触れられない
いくら救いを求めても
青は決して触れさせない
いつものとこで
いつものように存在し
癒しを求め
救いを求める子供らに
自立の孤独を語るのみ

「青を欲すな、青になれ!」



喜び、怒り、哀しみ、楽しみ
すべてを吸いこみ
子供は大人になってゆく
すべてを吸いこみ
すべてを吸いこむ青になり
そうして大人は初めて気づく
Dの青さの存在に

与えることが出来る青
愛することが出来る青
救いを求める子供らが
救いを求める大人らが
触れてることが出来る青
海の青さも
空の青さもかなわない
真の大人の
Dの青さの存在に



海の青さになりたくて
空の青さになりたくて
そしてすべてを乗り越えた
Dの青さになりたくて
未来に向けてオレは行く



「ぼくドラえもん」


宮原 春萌
<1999年夏作、『IM...identity market 21』(identity market、2000.1.1発行)掲載>



●解説●
 元々は『muzzle 0004』(「AMBIENT、環境、境界、岸」の解説参照)のために書いた作品。「blue」をテーマにしてということで書いている。だが、どういう経緯だったか全く忘れたが、この作品は掲載されずお蔵入り。もしかしたら「掲載されず」ではなく「原稿を出さず」だったかも・・・・・・。
 その後、我がIM21号(00年1月発行)に掲載。本来『IM』には場違いな作品なのだが、この号は印刷直前に1ページ空いてしまい、急遽この未発表作品を蔵出しした次第である。(2004.6.15記)



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