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AMBIENT、環境、境界、岸 [ORIGINAL FLAT SILENT MIX]

AMBIENT
環境

環境は己を囲む全存在
己を囲む境界線
己を囲む冷たい岸辺

ココロが危機に瀕すると、ヒトは岸辺を求めさまよう。

環境は己を囲む傍観者
救済者にはなり得ない

A子とオレは違う世界に住んでいる。
(そのときA子はオトコがいたし、オレのとこにもオンナがいたし)
いくらカラダを合わせても、
決してココロはひとつにならない。
A子とオレはカラダを合わせ、
岸辺を感じ、
岸辺にやすらぎ、
そして再び世界に戻る。

環境は己を洗う傍観者
環境を己は洗う傍観者
救済者にはなり得ない

誰ひとり、
誰もみえない浜に立つ。
海岸は海と大地の境界線。
波が押し寄せ、波が引く。
一瞬、波が足元を洗う。
そして再び、波は引く。
ヒトは大地に生けるもの。
決して海とはひとつにならない。
岸辺を感じ、
岸辺にやすらぎ、
そして再び大地に戻る。

A子とオレはカラダを合わせ、
そして再び世界に戻る。


(いつしかヒトは岸を越え、そして己にピリオドを打ち)


宮原 春萌 [1998/5/11]
<『muzzle0001』(muzzle編集室、1998.8.1.発行)より転載>



●解説●
 『muzzle』は『IM...identity market』で筆をふるっていた吉水裕子氏が創刊したフリーペーパー。当時、吉水氏とはフリーペーパーやアンビエントのイベントでお世話になったりしたりで付き合いが深かった。しかも創刊号のテーマが「AMBIENT MUSIC」とくれば、寄稿せぬワケにはいかぬ。
・・・・・・ということで書き下ろした詩。ちょっとテクに走りすぎているところがまだ青い。実際コレを書いた頃は女性カンケイすら腰据わらず状態で、青い煩悩をコントロールできずにいた。
 なお、18行目の「環境を己は洗う傍観者」が、『muzzle』掲載時は17行目と同じ「環境は己を洗う傍観者」になっていたが、これは向こうの誤植。流れが転換する肝心の行での誤植。しかも意味が逆。正直しんどかったが、創刊前、フリーペーパー作りについて色々教えたのは実はオレ。つまりそのオレの教えが至らなかったということ。で、反省するしかなかったのであった。(2004.3.29)



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