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古都の底力<後編> 2004,8,31

ここに掲載しておりました文章は8/30に移動しまとめました。

古都の底力 2004,8,30
今回もやはりそうだった。

熊本に移り住んで10年。以前から薄々気付いていたのだが、今回の台風ではっきりと確信した。
台風が通っても熊本の天気は荒れないと。

九州を縦断した台風16号。各県の天気は大荒れとなり、洪水、家屋倒壊、崖崩れ・・・甚大な被害を方々にもたらし、犠牲者も出てしまった。

ところが、台風が真上を通り半日近く暴風域に入っていたにもかかわらず、熊本市内に降った雨は僅か52.5mm。1時間ではない。今日1日の総雨量がである。風はそれなりに吹いたが、これも熊本にしては・・・という程度。風の強い地方ならこのぐらいの風は普段から吹いている。いくら市街地とはいえ、ウチでは窓すら閉めずに済んだ。早朝から夕方にかけての通過だったのでずっと観察していたし、仕事で外にも出たのだが、台風らしい天候にはついぞ一度もならなかった。

一度や二度なら偶然と思える。だが台風が来るたびにこうなのだ。九州一帯の天候が荒れているにもかかわらず、熊本市周辺だけが穏やかなのだ。そしてこの現象は大雪の時なども同様に起こるのだ。

理由は恐らく熊本が古都だから・・・いや、その逆・・・災害が起こらない場所だから、古くから都市が栄えたのであろう。

3日前の日記で書いた通り、夏の熊本は九州で一番蒸し暑い。そして冬も平地に限れば一番寒い。だが熊本には、嵐も無ければ大雪も無い。干ばつも無ければれ冷害も無い。たいした地震も起こらない。多湿ゆえに大火事も起こらない。注意すべきは洪水のみ。しかもその洪水ですら、加藤清正から続く四百数十年の治水対策によって、現在はほぼ克服されていると言ってよいだろう。

普段は快適とは言えないが、大きな災害が起こらない。自然に対して今よりずっと非力だった昔の人にとって、災害が起こらないことは何よりも重要だったはずだ。だからココ熊本に街が興り、(今はその地位を福岡に譲ったものの)九州の中心都市として発展してきたに違いない。

いにしえびとが選びしところ、すなわち古都の重みそしてありがたみを思い知った、台風16号の通過であった。

---おまけ---
昨日の最高気温、29.4℃だったそうだ。全国最後の砦(?)としてヘンに注目されていた熊本の連続真夏日も、遂にストップしたということ。結局記録は63日。あと1日で観測史上単独2位になったらしいんだけどね。
まあ、これで涼しくなってくれれば記録なんてどうでもいいんだけど、どうせ今日からまた当分真夏日続きだろってのが悩ましいトコロ。
熊本の夏って往生際が悪いんだよね。やれやれ。

<補足(2004.9.1記)>
某氏より「今回の台風も99年の台風も運良く台風の中心部でしたから熊本市内は荒れなかっただけだと思います<中略>熊本は西から南西方面からやって来る(通過する)台風には極端に弱いです。過去に何度も酷い目にあってます」との指摘を受けた。<BBS(2004.8.31)参照>
熊本が今まで受けてきた被害を軽んずる意図は全く無かったのだが、誤解を招いた原因は本文の説明不足にあると考えたので、ここに補足させて頂くことにした。

まず念のため以下の事を確認しておきたい。
1)取り上げているのは熊本市。しかも基本的に「古都」と呼べるエリアである事。
2)本文は全て「九州一帯」と比較しての話である事。
3)"人災"は一切考えに入れてない事。

上記の前提のもとで、私は「台風が通っても熊本の天気は荒れない」と書いた。あくまで「荒れない」であって、被害が無いとは言ってないつもりだったのだが、最後に「災害が起こらない」と書いてしまったのがちと軽率。「災害」の本来の意味からすれば間違いではないのだが、天変地異には及ばぬ被害どころか人災まで「災害」と表現してしまう最近の用例からすれば、誤解されても仕方がない。ここは「大きな災害」と書くか、または「天気が荒れない」にとどめておくべきであった。反省する。(これを受けて<後編>では「大きな災害」とした)

本文が「九州一帯」と比較しての話であることも伝わりにくかったようだ。私がまず言いたかったのは、他の都市と比較して熊本は天気が荒れないということ。今回の16号でも、熊本と同様に台風の中心が通った鹿児島県西部や八幡(北九州)、下関などと比べて、熊本は天気が荒れなかった。これは観測データにもはっきり出ている。
なぜこうなるのか?一番の要因は地形の違いであろう。簡単に言えば平野である事。しかも切り立った山脈が東西南北どちらにも無い事。この影響が大きいのだと思う。

そして、天気の荒れ具合と被害の大きさは単純に正比例するものではないということを、ここに確認しておきたい。
例えば鹿児島に来る台風は凄まじい。熱帯から来た台風が勢力を落とす前に上陸してくるので、とんでもない暴風雨となるのだ。もしあんな暴風雨が他の都市を襲ったら、壊滅的な被害が出るだろう。そういう台風が頻繁に上陸する鹿児島だから、壊滅せずに済んでいる。逆に天気が荒れる事が少ない都市では、さほどの荒れ具合でなくとも大きな被害が出てしまう場合もある。
天気が荒れないからといって、被害が出ないとは言い切れないのだ。

台風や豪雨による被害を幾度となく経験してきた事。特に戦後の混乱期には、大水害によって多くの犠牲者を出してしまった事。・・・これらは全国各地に散在する忌わしい記憶だ。もちろん熊本も例外ではないことは充分承知している。
だが、逆に熊本だけが特別なわけでもないので、本文では触れなかっただけである。触れなかっただけで、決して存在を無視したわけではないということを、最後に記しておく。


<参考資料>
『お天気Web九州』>アメダスデータ(2004、Japan Weather Association Kyushu[(財)日本気象協会九州支社]、2004年8月31日更新版)<URL:http://www.jwaq.gr.jp>

『朝日新聞2004年8月31日<西部本社第11版35面(熊本)>』(朝日新聞社、2004)

久し振りの福岡 2004,8,28
久し振りに福岡でDJします。来週土曜(9/4)。場所はデカタンデラックス。
イベント名は・・・未だに知らんです!
ひと月前に依頼があって出演OKしたまではよかったんだけど、その後連絡ねえんだよな。
あと1週間しかないぞ。大丈夫なんやろか。

メインゲストがFREEMANの山さん(DJ sahib a.k.a YAMA)と内海イズル氏と聞いているんで、ジャンルはトライバル寄りのハウス、トランス、ジャズといったところでしょう。けっこう踊れる系のイベントになるんじゃないかな?

ワタクシharumoはアンビエントフロアに登場。メインと両方やって欲しいとのことだったのだが、アンビエント1本でいかせてくれと、ワガママ聞いて頂きました。そのぶん、気持ちいいプレイをご披露イタシマス。乞御期待!

なお、具体的な内容は、分かり次第ココで発表していきます。

フツーの夏 2004,8,27
猛暑に苦しむ全国をよそに、ちょっと暑いかな?程度の夏だったココ熊本。だがお盆を過ぎてフツーの晩夏になってきても、やはり熊本はフツーに暑く、アメダスの最高気温ランキングの常連ヅラぶりが鼻につくようになってきた。

熊本を訪れた人は"暑い"と口を揃えるが、熊本の夏の最高気温はせいぜい35℃台。関東や日本海側のように40℃に迫るような事は決してない。
"暑い"のに気温が上がらない。当然これにはワケがある。

ひとつ、豊富な地下水。熊本市+郊外約100万人を全てまかなえるという、日本一とも言われる地下水が熊本平野には流れ、至る所で湧いている。つまりいくら太陽が照っても地面が乾かず、蒸散効果によって気温の極端な上昇が押えられる。
ふたつ、有明海。日本一の干潟として有名なこの湾は、波もロクに立たない「海」とは名ばかりの場所。夏場の水温は30℃以上になるし、干潮時には海岸線すら消えてしまう。つまり気温を下げる効果が期待できない。実際、九州では有明海沿岸が一番気温が高い。だが地下水と同じくこれも蒸散効果を発揮するので、気温の極端な上昇に対しては抑制要因となる。
そしてみっつ、風が無いこと。熊本は年平均風速3.6m/sという弱風地帯。しかも山地がある北東~南からの風はほとんど吹かない。つまりフェーン現象が起こらない。ゆえに40℃に迫るような気温になることはない。
まあ、そんなところ。他にも要因があるかも知れないが、オレの頭では思いつかない。

だが大量の水が蒸発していれば、当然湿度は高くなる。そしてほとんど風がない・・・気温はさほど上がらなくても、やはり熊本は"暑い"のだ。

とにかく熊本の気温はせいぜい35℃台。全国的な猛暑になってもつられることなくマイペース。連続真夏日こそ今日で61日と全国トップを独走中なのだそうだが、暑さ自体は(冷夏となった去年を除けば)ここ数年と大差ない。つまりフツーの夏なのだ。
・・・でも、熊本に移り住んで間もなく10年。何年経っても、熊本の「フツーの夏」には耐えられないんだよね。
カラっとした故郷横浜が懐かしいデス。


<参考資料>
『JWA 日本気象協会』>アメダスランキングNOW・最高気温(2004、JWA[日本気象協会]、2004年8月26,27日更新版)<URL:http://www.jwa.or.jp>

『WEATHER EYE』>お天気データベース(1994-2003、CRC Research Institute,Inc、2004年8月27日更新版)<URL:http://weather.crc.co.jp/>

『よみがえれ!有明海』>宝の海有明海>有明海ってどんなとこ?(版権所有者不明、2004年8月27日更新版)<URL:http://www.h5.dion.ne.jp/~n-ariake/index.htm>

『日本自然保護協会』>ライブラリ>九州・諫早湾の環境保全(2003、THE NATURE CONSERVATION OF JAPAN[日本自然保護協会]、2004年8月27日更新版)<URL:http://weather.crc.co.jp/>

『局所的風況予測モデル LAWEPS』>風況マップ表示システム(2002-2003 Japan Weather Association、2004年8月27日更新版)<URL:http://www2.infoc.nedo.go.jp/nedo/top.html>

金メダルを評彰する<4> 2004,8,25

ここに掲載しておりました文章は削除させて頂きました。

金メダルを評彰する<3> 2004,8,23

ここに掲載しておりました文章は削除させて頂きました。

金メダルを評彰する<2> 2004,8,22

ここに掲載しておりました文章は削除させて頂きました。

金メダルを評彰する<1> 2004,8,21

ここに掲載しておりました文章は削除させて頂きました。

射撃は退場願いたい。 2004,8,20

ここに掲載しておりました文章は下記アドレスに移動いたしました。




『射撃は退場願いたい。』

[http://blog.identitymarket.net/?eid=131921]

オリンピック休戦 2004,8,19
そういえば五輪のたびに国を超えて起こるオリンピック休戦の呼びかけが、今回のアメリカ・イラク戦争に関しては(戦争の重大さの割には)為されなかったのはなぜだろう?
野蛮なアメリカ政府に呼びかけてもムダだと、始めから諦めてしまっていたのだろうか?

まあ、"オリンピックの期間だけ休戦しよう"は、"それ以外の期間は戦争してもよい"と認めていると受け取られかねないので、どちみちオレは賛成しないけどね。

なお、オリンピック停戦なら、言うまでもなく賛成デス。

太陽帆<5> 2004,8,18
<8/16より続く>

さて、では太陽帆の出る幕はないのか?
いや、依然、太陽帆は人類にとって無くてはならないものである、とオレは考える。
なぜか?
人類が宇宙の外海に飛び出す前に、まず内海すなわち太陽圏内を詳しく調べる必要があるからだ。
科学の進歩にとって最も大切なのは積み重ね。観察と実験を繰り返し、データを地道に蓄積していくことなしに、科学の進歩は成し得ない。
だがご存知の通り宇宙探索には莫大な金と労力がかかる。だから人類初の人工衛星スプートニクが地球を回ってから47年。木星や土星ですら、未だ数機の探査機しか訪れていない。
・・・積み重ねには程遠い。

今重要なのは、質より数。探査機を何十回、何百回と飛ばし、地道に調査することだ。データが取れさえすればよいのだから、探査機は地球に戻れなくてもよい。もちろん無人で構わない。
質より数の調査に高価なエンジンを投入するのはバカらしい。そこで太陽帆の登場だ。かつて地表から凧や風船を飛ばし空の様子を調べたように、宇宙基地から太陽帆を広げた探査機を何十、何百機と飛ばす。エンジンも燃料も要らない。太陽風に乗せて飛ばすだけ。これなら太陽圏内をくまなく、しかも安く調査できるはずだ。

ともかく、太陽帆を張った探査機が次々に出帆していく・・・そんな日が早く来ることを切に願う。
スプートニクからもうすぐ半世紀。
ロマンと実用性を兼ね備えた太陽帆は、狭い視野で憎しみ合う愚かな人々の目を、
きっとふたたび、
広大な宇宙に向けさせてくれるだろうから。

<おわり>

太陽帆<4> 2004,8,16
<8/13より続く>

そこで太陽帆の出番、といきたいところだが、太陽風が及ぶのはヘリオポーズまで。そこから先は、何らかの風が吹いているか否かすらもはっきりしない未知の世界だ。逆風だろうが風さえ吹けば帆は進む。だが宇宙の外海には、広大で不変の恐るべき凪が広がっているかもしれないのだ。

ここはやはりエンジンを用意しておくべきだろう。絵本に出ていたイオンエンジン(※7)は、既に日本の探査機にも積まれるまでになっている。究極の反物質エンジン(※8)ですら、数十年以内に実現したいとNASAは言っている。近い将来、これらのエンジンが宇宙の姿を人類に伝え、そして宇宙の大航海時代の扉を開くに違いない。

<8/18に続く>

(※7)イオンエンジン:キセノン等の原子を推進剤とし、これをイオン化して放出することによって推力を得るエンジン。最高速は早いが加速力が非常に弱いので宇宙空間でしか使えない。旧来型ロケットの1/10の推進剤で同じ推力を得ることが出来る。

(※8)反物質エンジン:昔は光子エンジンとも言った。SFの世界で人気が高く、『スタートレック』のエンタープライズ号もこのエンジンを搭載している。「反物質」と漢字で書くと荒唐無稽に思えるが、要するに通常と反対の電荷を帯びた原子や電子のこと。原子ならマイマス、電子ならプラスのものが反物質である。地球には存在しないが宇宙には存在するらしい。製造方法も確立されている。反物質とそれと同量の正物質をぶつけると光速に及ぶ噴射を得ることが出来るらしく、それを利用したのが反物質エンジンである。(原子爆弾のしくみすら理解できないオレ。なぜそうなるんかは全く理解できんけどね) しかも肉眼で確認できない程の微量の反物質で宇宙船を飛ばし続けることが出来るという。ただし製造コストが非常に高いのが難点で、まだ実現には至っていない。

<参考資料>
『宇宙航空研究開発機構(JAXA)』>各本部サイトへ>総合技術研究本部>航空宇宙の技術を支える>人工衛星に関する技術>イオン推進(2003 Japan Aerospace Exploration Agency、2004年8月12日更新版)<URL:http://www.jaxa.jp/>

『AstroArts(JAXA)』>ニュース(天文ニュース)>バックナンバー一覧>2000年10月>反物質エンジンが数十年以内に実現?(2004、AstroArts Inc. 、2004年8月12日更新版)<URL:http://www.astroarts.co.jp>

終戦記念日ヲ返上セヨ 2004,8,15
アメリカとイラクの戦争に参戦していながらその一方で終戦記念日とはなんたる偽善!
今の日本に資格なし。
軍を引くまで終戦記念日は返上すべし。

市民権 2004,8,14
深夜テレビをつけたら、オリンピックの開会式をやっていた。
あ、遂に始まったのか。見始めるとハマっちまうから気をつけんとな・・・などと思いながら各国選手の行進を眺めていたら、聞こえてくる行進曲が思いっきりハードハウスなDJプレイ。
まさか!と思っていたら、画面にプレイ中のDJの姿が!!

回してたのはDJ Tiesto(※)というオランダのDJ。オランダといえば日本ではSystem F(Ferry Corsten)が有名だが、向こうでは彼をも上回る・・・どころか今ヨーロッパでNO.1の人気を誇るDJだ。ちなみにサウンド的にもSystem Fに近く、チームを組んでいたこともある。DJ歴は長いがメジャーになったのはわりと最近(ということで実はワタクシ、彼のコトあんま知らんデス。興味ある人は下記サイトを見てくだされ。)

やっぱクラブカルチャーが市民権を得ているということなのだろう。それも浅利慶太や森英恵レベルで。そうでなければ、国を挙げてのイベントで90分もプレイするなど、到底許されようはずがない。

もしこれが日本だったら、「誰あの人」「誰だあんなヤツ呼んだのは」になってしまうだろう。
クラブシーンが確立して15年。オリンピックに出るまでになったヨーロッパのシーン。
片やいつまでたっても"若者のサブカルチャー"でしかない日本のシーン。
彼我の差を痛感するばかりだ。

それにTiestoはオランダ人。そしてそのあと歌ったbjork(ビョーク)もアイスランド人。どっちもギリシャにしてみれば外国人だ。オランダはともかくアイスランドに至ってはEU加盟国ですらない。例えれば日本で朝鮮人やモンゴル人が主演するようなもの。ギリシャは文明発祥の地として欧州の中でもナショナリズムが強いと聞いていたが、この柔軟ぶりには驚いた。

やっぱ欧州の意識は先を行っているんだろうね。
アジアカップの応援ごときで騒動になってしまう日本や中国の現状が恥ずかしい限りだ。
またもや彼我の差を痛感してしまった。

ところで昨日は"13日の金曜日"だったが、とりあえずテロはなかったようだ。よかったよかった。

(※)正確には「DJ Tiësto」と綴るが、環境によってはエラーしそうなので、ココでは「Tiesto」と表記する。読みは「ティエスト」でいいと思う。

<参考資料兼オススメLINK>
■DJ Tiesto オフィシャルサイト
Tiesto<URL:http://website.tiesto.com>(版権所有者不明、2004年8月14日掲載版)

■支持率No.1(だと感じる)ハウス系クラブカルチャー誌『DJmag』のホームページ。Tiestoはココの「Top 100 DJ's」で02年、03年と2年連続でNo.1に選ばれている。
DJmag.com(版権所有者不明、2004年8月14日更新版)<URL:http://www.djmag.com>

■プロフィールもついているハウス系DJランキングサイト。ココでもTiestoが第1位。
The DJ List - The World's Largest DJ Directory(2004、The DJ List,Inc、2004年8月14日掲載版)<URL:http://www.thedjlist.com/>

太陽帆<3> 2004,8,13
<昨日より続く>

・・・さすがにオレもタキオンまでは夢見ない。
だが、現実の太陽帆が受ける風=太陽風(※5)も時には秒速800kmにも達するという。この風に乗ることが出来れば、スイングバイ(※6)を繰り返してようやく秒速40kmという今の宇宙船から飛躍的に速度が上がる。木星まで1.5~2年、土星まで3~4年、天王星まで8.5年、海王星まで12年、・・・ボイジャー1,2号ではこれだけかかった惑星への旅も、ほんの何ヶ月かで行けるようになるのだ。
もちろん帰りは大変なのだが・・・。

打ち上げから間もなく27年。2機のボイジャーは今なお宇宙を飛び続けている。そして先に飛ぶボイジャー1号は、太陽風の果てる地点すなわち太陽圏の外縁(ヘリオポーズ)まで、あと20年程で到達すると予測されている。打ち上げから47年、この時ようやく、ボイジャーは本当の意味での「宇宙」に飛び出すのだ。だが残念ながら、その時まで観測機器が持たないらしい。

<8/16に続く>

(※5)太陽風:太陽から発生する磁気と電気を帯びたガスの流れ。地球付近では遅い時で300-400km/秒、速い時で800km/秒、平均で450km/秒の速さの太陽風が吹いている。

(※6)スイングバイ:惑星等の近くを通り過ぎることによって得られる引力および公転速度を利用し、燃料を使わずに探査機などを加減速すること。同時に進行方向の転換も行うことが出来る。

<参考資料>
『名古屋大学太陽地球環境研究所(STE研)』>50のなぜ>『太陽・太陽風50のなぜ(HTML版)』(2003、名古屋大学太陽地球環境研究所、2003年8月20日発行)<URL:http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/>

『日本惑星協会』>太陽系探査>終了したミッション>ボイジャー・ミッション(2000、The Planetary Society of Japan、2004年8月13日掲載版)<URL:http://www.planetary.or.jp/>

『三菱電機BBサイエンスサイト DSPACE』>バックナンバー>2003年>11月コラムVOL.4‐林 公代『さよなら太陽』(2003、林 公代、2004年8月13日掲載版)<URL:http://www.mitsubishielectric.co.jp/dspace/>

太陽帆<2> 2004,8,12
<昨日より続く>

オレが太陽帆を知ったのは『スタートレック』だ。人類が月に降り立つ前から今なお続くアメリカいや世界最大のこのSFシリーズは、最新の宇宙科学を物語の随所に取り入れている。その『スタートレック』の『ディープ・スペース・ナイン』というシリーズに「太陽帆」が登場するのだ。(※2)

ただし扱いは太古の宇宙船。ベイジョー人という古くから栄えていた宇宙人が「800年~400年前」(※3)に「太陽帆」を使って宇宙を航海していたという設定だ。「太陽帆」を持つベイジョー人の宇宙船はタキオン(※4)の流れに乗ることによって光速の壁を超え、遂には他の恒星まで旅するまでになったと言い伝えに残っている。そして現代(=24世紀)において「太陽帆」の宇宙船を再現し、その伝説の航法を実証しようというのが話のスジだ。

<明日に続く>

(※2)『ディープ・スペース・ナイン』第3シーズン・エピソード68「EXPLORERS(夢の古代船)」

(※3)『ディープ・スペース・ナイン』は24世紀の話なので、今から見れば500年~100年前、16世紀から19世紀ということになる。

(※4)タキオン:光より早いとされる架空の粒子のこと。マトモな科学の世界では理論上存在するか否かすら未だ論争中。新興宗教の世界では人気が高い。

<参考資料>
安斉レオ『スタートレックへの誘い』(1997、ジャパン・ミックス株式会社、1997年2月28日発行)

『週刊スタートレック第10号』(2003、Paramount Pictures / k.k.DeAgostini Japan、2003年5月13日発行)

『週刊スタートレック第11号』(2003、Paramount Pictures / k.k.DeAgostini Japan、2003年5月20日発行)

太陽帆<1> 2004,8,11
<「太陽帆」実験に成功>という見出しが朝日新聞に載っていた。
太陽の風を帆で受けて帆船の如く宇宙を進む太陽帆。SFの夢物語が実現した!と一瞬歓喜したのだが、これがトンだヌカ喜び。記事をよく読むと、JAXA(宇宙航空研究開発機構)(※1)が帆を広げる実験に成功しただけ。まだ動いてもいないようだ。
おいおい、いくらナンでもそれはないJARO・・・。

でも、大航海時代への憧れをモチーフにしただけの空想だと思っていた太陽帆が、ちゃんと研究開発されているのだと知っただけでもなんか嬉しい。実際に動いてそれを制御できなければ話にならんと思うけど、小さな帆を開いただけでも実現に向けた第一歩には違いない。それにロケットだって鉛筆のような大きさから実験を繰り返してきたんだしね。

<明日に続く>

(※1)JAXA(宇宙航空研究開発機構):宇宙開発事業団、宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所の3つが統合して昨年10月に誕生した独立行政法人。H2ロケットが失敗し続けていた数年前に日本の宇宙開発が3つの機関に分かれている弊害を指摘する声が上がっていたが、もう統合していたとは・・・お役所の割には動きが速いとヘンに感心。

< >内:『朝日新聞2004年8月10日<西部本社第10版38面>』(朝日新聞社、2004)

<参考資料>
『宇宙航空研究開発機構(JAXA)』>各本部サイトへ>宇宙科学研究本部>宇宙ニュース>太陽帆船用の薄膜帆を宇宙で展開(2003 Japan Aerospace Exploration Agency、2004年8月9日更新版)<URL:http://www.jaxa.jp/>

後巷説百物語 2004,8,9
<昨日より続く>

さてそんなわけで、今更ながらアニメに注目し始めたオレだが、こうなってくると更なる期待も膨らんでくる。すなわち、もっといろんな文学をアニメで観たいということだ。

映画やテレビの出現以降、多くの文学が映像化されてきた。だが、それは専ら実写によるもの。アニメによる映像化はほとんど成されてこなかった。なぜならば、ディズニーや手塚治虫といった偉大な先駆者たちの仕事によって、アニメ=子供向けという公式が出来上がってしまっていたからだ。

しかしよく考えてみると、アニメが子供向けでなければならない理由はどこにもない。無限ともいえるアニメの表現力は、子供向けファンタジーを描くのと同様に、壮大なスケールの文学を描くのにも適している。実写とアニメは言わば写真と絵の関係。現実を伝える力は写真が上だが、文学的観念を伝える力は絵の方が遥かに上。というより、絵でなければ表現できないことも多い。

しかしアニメの誕生以来、文学入門的なアニメはあったにしても、作品の世界を真剣に表現しようというアニメが作られたことは無かった。アニメ=子供向けという先入観がそれを妨げていた。そしてアニメの技術や製作環境も、文学を表現するにはまだ不完全だったのであろう。

しかしアニメ版『巷説百物語』は、アニメが既に文学を表現し得る水準に達していることを示してくれた。これならば他の文学作品もアニメ化できる。読者はもちろん、作家の側でもそう思った人は少なくないのではないだろうか?「この水準なら私の小説もアニメ化して欲しい」・・・そう思う作家が増えてくればしめたもの。アニメもいよいよ成熟に向っていくだろう。そしてそれは、文学にとっても復権の第一歩となるに違いない。

今回のアニメを製作したのは㈱トムス・エンタテインメントという会社。『オバケのQ太郎』『巨人の星』『天才バカボン』『ルパン三世』『ベルサイユのばら』『それいけ!アンパンマン』・・・名だたる名作を送り出してきた東京ムービー新社の流れを汲む名門だ。近年においても『名探偵コナン』を大ヒットさせている。
そんなアニメの名門が、『巷説百物語』によって文学の世界に足を踏み入れた。しかも大人の鑑賞に充分耐える、高い完成度を以って作品を完成させた。これは既に事件といってよいであろう。

どうやらますます面白くなっていきそうだ。当分アニメ界の動向からは目を離さないでおこう。

<おわり>

続巷説百物語 2004,8,8
<昨日より続く>

このアニメの魅力は、まず、映像の美しさだろう。最近のアニメの絵の美しさには目を見張るばかりだが、さらにこの作品は、陰翳や超広角アングルを多用した前衛的な映像によって、独自の世界観をも表現している。もちろん色遣いや線画のラインも美しい。

登場人物も魅力的だ。小股潜りの又吉。山猫廻しのおぎん。鳥寄せの長耳。考物の百介。そして脇を固めるワケありの人や妖怪たち。それぞれに陰のある登場人物たちが、頭にこびりついてくるような印象的な姿で迫ってくる。

そして、又吉の決めゼリフ「御行為奉(おんぎょうしたてまつる)」を始めとする言葉の美しさ。幸か不幸かまだ原作を読んでいないので断言は出来ないが、多くは原作そのままであろう。さすが筆一本で生きている作家の言葉だ。凄みさえ感じる。

もちろんストーリーも大人の鑑賞に耐える・・・というより、そこいらのテレビドラマなんかよりよっぽど大人向け。原作者が第一級の小説家なんだから当然なんだけどね。

まあ、百聞は一見に・・・だ。
ちなみに、いま人気の若手ジャズ・シンガー、ケイコ・リーが歌う主題歌も絶妙。江戸末期を舞台にした怪奇アニメにこの主題歌をぶつけた選曲家の切れ味に拍手。アレンジもいいし、特にAOR(※2)好きには間違いナシの必聴チューン。
そして、アニメ版オリジナルキャラ「京極亭」の声は、なんと京極氏自身(!)というお楽しみも!
DVDも出ているらしいんで、チャンスがあったらぜひ観て欲しい。
今のアニメの美しさと面白さを存分に味わえるはずだから。

<実はまだつづく>


(※2)AOR:Adult Oriented Rock。すなわち「大人向けのロック」。ジャズ、ロック、ヒップホップ、ハウス、テクノ・・・音楽のジャンルはどれも形よりも方向性を示すものだが、特に「AOR」にはその要素が強い。裏を返せば曖昧なジャンルだということ。ちゃんと説明するには「ロックの歴史」から始めなければならないが、本題ではないのでここでは省く。ハード、プログレ、パンク・・・ロックが過激化の一途を辿った70年代に、それに対抗するように成立した音楽。全盛期は80年代前半。ロキシー・ミュージック、スティーリー・ダン、スティングあたりが典型的かつ日本でも人気が高かったアーティスト。本文にある通りケイコ・リーはジャズ畑のアーティストなので、この主題歌自体はAORと呼ぶべきではないだろう。

巷説百物語 2004,8,7
今時のオトナにしてはマンガやアニメに疎いオレ。ガキやオタクじゃあるまいし・・・と、ずっと横目で眺めてた。
ところがネット高速化の副産物としてアニメ専門チャンネル「アニマックス」が観れるようになってから認識を一変。以降、多様化した作品群にすっかり夢中になっている次第。

で、最近のお気に入りは『京極夏彦 巷説百物語(こうせつひゃくものがたり)』。そう、今年の1月に直木賞を受賞した作品(※1)のアニメ版である。

京極氏については直木賞ですら“今さら失礼では?”と評されたほどの大御所。熱狂的なファンも多いことだし、ここで説明するまでもないだろう。(ちなみに「京極夏彦」でgoogle検索をかけたら、なんと検索結果82,300件!「夏目漱石」ですら72,500件だというのに・・・。スゴすぎる・・・)

このアニメ版『巷説百物語』は、昨年秋に中京テレビ他民放テレビ局で放送されたもの。しかし「アニマックス」では今週から放送開始。昨日までに全13話中3話まで放送。もちろん毎晩チェック状態である。

<明日につづく>


(※1)正確に言うと直木賞を受賞したのはシリーズ第3弾の『後巷説百物語』。アニメ化されたのは最初の『巷説百物語』と第2弾の『続巷説百物語』なので、受賞作はアニメ化されていない。だが京極氏本人さえ拒まなければ、間違いなくアニメ化されるだろう。続きモンなんだしね。

<参考資料>
東京ムービー>『京極夏彦 巷説百物語』(2003 TMS ENTERTAINMENT,LTD、2004年8月7日掲載版)<URL:http://www.tms-e.com/>

右翼 2004,8,5
昨日の補足として書いておく。
オレは<右翼勢力>という言葉を、日本人としての誇りを失い、アメリカが飛ぶための「翼」に成り下がっている連中のことを指す言葉として理解している。
もし記事を書いた『中国青年報』あるいはそれを訳した『朝日新聞』が別の意味で<右翼勢力>という言葉を使っていたのならば、オレはこの記事に賛同しない。

この国にはかつて、日本民族としての真っ当な誇りを持っている者と、見せかけだけの誇りしか持っていない単なる右翼勢力を混同してしまう悪しき慣習があった。
今さら混同しているような奴はさすがにおらんと思うが、まぁ、念のためね。

アホな質問 2004,8,4
中国で行われているサッカーのアジアカップで、日本チームがブーイングの嵐を浴びているらしい。
で、その件について小泉首相がマスコミの質問を受けているのをテレビで観たのだが、その質問が、
「首相の靖国神社参拝が影響していると考えますか?」

アホか!もっと大事な質問があるだろが!

だいたい、首相の靖国参拝問題なんて今に始まったことじゃねぇだろ。吉田、中曽根、橋本・・・今までも歴代首相が参拝してきて、その度に中国や韓国の反発を受けてきたわけじゃねーか。第一、中国で一番人気があるっていうMr.日中国交正常化・田中角栄だって参拝してるんだよ。

そりゃ確かに影響してるとは思うよ。でも、なぜ今になって反日感情が高まっているのか?しかも政府レベルではなく民衆レベルで高まっているのか?

答えは単純じゃないよ。でも、まず小泉首相に問うべきはアメリカの言いなりになってイラクに派兵したことだろ。彼の「実績」といえば、なんてったってコレだからね。

それを問わずして靖国問題。・・・何考えてるんだろね。
それともイラク問題は「自主規制」かい?



ちなみにこの問題の本質はイラク派兵問題にも靖国参拝問題にもない。中国の民主化と両国のネット普及によって顕在化した、民衆レベルでの反日感情と反中感情。それが政府の垣根を越えて衝突していることに原因がある。オレはそう考えている。

北京五輪を控えた中国政府の反応が一番冷静だ。<中国共産主義青年団の機関紙「中国青年報」は一連の反日行為について><「市民の不満は、主に日本の右翼勢力の劣悪な行為のため」「行き過ぎた民族感情のなかで報復の快感を味わったかもしれないが、スポーツの尊厳を損ない、本来の意義を失わせる」>と書いたという。
だが民主化の進んだ今の中国では、政府が民衆の感情をコントロールすることなど出来るはずもない。両国の民衆が日中の協調を望まぬ一部勢力に踊らされず、冷静に対応することを願うしかあるまい。


< >内:『朝日新聞2004年8月1日<西部本社第10版2面>』(朝日新聞社、2004)