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What's 'IM'?

―コレマデ ト コレカラ ―

フリーペーパー『IM...identity market』が復刊します。

 ネットを足がかりに『IM』を復刊させよう。・・・だが、ここで思わぬ誤算が生じた。
 肝心のネット・コミュニケーションのスタイル、特にオレが拠り所ににようとしていたBBSのスタイルが大きく変わっていってしまったのだ。
 BBSの最大の魅力であった参加者全員のコミュニケーションの輪は、「スレッド」や「ツリー」でズタズタに引き裂かれ、今や在りし日のよき思い出となってしまった。そしてネット・コミュニケーションは「2ちゃんねる」的なものと「ミクシィ」的なもの〔※〕・・・即ち「無責任」と「会員制」のいずれかを前提にしなければ成立しなくなってしまった。
「無責任」と「会員制」。いずれも『IM』のコンセプトとは相容れないものであるということは、一度でも『IM』を手にしたことがある方なら、また当コーナー「What's IM」を最初から読み進めてきた方なら、言うまでもなく理解して頂けるであろう。

 川で網を張っても、海の魚はかからない。
 2005年6月、諸般の事情からホームページを独自ドメインに移行させた時、『identity market on WEB』は既に主役の座から降ろされていた。
 そして同年8月、『IM』の復刊日を発表したこの文章において、ネットに対する『IM』のスタンスも表明したのである。

 この文章はまず10円コピーという形で、『IM』をよく知る人に配布した。『IM』復刊の朗報(?)は、まずかつての愛読者に伝えたいという思いがあったからである。(当サイトにも一応掲載)
 9月には一般向けに加筆修整したものをハガキサイズのフライヤーとして印刷。あとは街で配るだけとなっていたのだが、印刷部門の売上不振という思わぬ障害が発生。『IM』どころではない状況に陥ってしまったのであった。
 そして半年、状況は決して好転していないのだが、7月の復刊から逆算すればもう待ったなし!
 ・・・・・・というわけで、配布を始めた次第である。



〔※〕念のため断っておくが、オレは「2ちゃんねる」も「ミクシイ」も認めている。だがオレのスピリットに反するモノなので参加はしない。こう書くとガンコオヤジのようだが、これはオレの生きザマの譲れない部分。どうか勘弁して欲しい。なお、以前知人に「ミクシイで見かけましたよ」と言われたことがあるが、もちろん人違いである。<2006.3.26記>



 はじめまして。いや、案外多くの方に対して「ごぶさたしてました」かもしれません。
 私はかつて『IM...identity market』(アイデンティティ・マーケット)というフリーペーパーを発行していた宮原春萌という者です。

 1996年7月創刊の『IM...identity market』(以下『IM』)は、「もっと主張しよう、もっとコミュニケイトしよう」がコンセプトの隔月刊フリーペーパー。2001年11月の休刊までに33冊発行されました。発行部数は5千部程度でしたが、熊本を本拠に東は岡山・米子、西は長崎、南は鹿児島まで各地のコアなショップやクラブに置いていましたので、覚えている方もきっといることでしょう。



『IM』の根幹を成すのは、モノを書く事、表現する事が得意な人ばかりでなく、普通の生活をしている我々がもっと発言をしていくべきだ。政治家やマスコミ任せにせず、社会のあらゆる物事に対し我々自身が主張していくべきだという考え方です。
 でもいきなり社会に対して主張するのはハードルが高い。だからまず身近な事でもいいから書いてみよう!そして身近な人と議論してみよう!・・・その表現の場として、私は集まってきた十数人のスタッフ達と共に『IM』を発行してきました。
 その後2001年11月、アメリカのイラク専制攻撃への異議申し立てとともに、『IM』は休刊しました。1年半後の2003年6月に「復刊準備号」を出し たものの、再び休刊。編集スタッフも実質解散し現在に至っています。



 創刊から9年、『IM』をとりまく環境は大きく変わりました。今や携帯電話1本で、ホームページが作れてしまう・・・苦労してフリーペーパーなど作らなくても、「もっと主張」出来る時代になりました。
 だが残念ながら、未だ我々の発言力は増していません。身近になったインターネットも、多くの人は言葉の洪水を前に立ちすくむばかり。「主張」の場には成り得ていません。
 また多くの人にとってネットは情報集めの場でしかないのも事実。“自分探し”以上の「主張」をしようとする人にとって、まだまだネットは物足りない世界です。

 フリーペーパーが自己表現の第一歩であった時代は終わりました。しかしネットと違いフリーペーパーは現実に深く根ざす存在です。ネットより読者は少ないかも知れません。発信出来る地域も限られます。
 しかし、ひとりひとりの読者がどれだけ深く読んでくれるか。これはネットの比ではありません。また後から書き換えることもが出来ません。印刷された物がずっと残るのです。つまりフリーペーパーで文章を書くことは、ネットよりもずっと重く、またそれゆえ責任も伴う行為なのです。
対してネットは気軽に書くことができます。また反応も気軽に返ってきます。しかしネットが身近になっても、我々の発言力が一向に増さない理由も、この気軽さにあると私は考えています。つまりもっと責任を持って書かなければ、「もっと主張しよう」は果たせない。そういうことです。



 来年7月、『IM』は創刊から10年を迎えます。
 そしてこれを機に、私は『IM』の復刊を決意致しました。

 今までのように隔月は無理です。せいぜい4ヶ月に1回。いや半年に1回になるかもしれません。また今までのように手広く配布することも出来ません。限られた地域、限られたショップのみの配布となります。しかし定期刊行のフリーペーパーとして、『IM』は復刊します。

 休刊中、私は仕事以外で人に会う事を控えていました。ひとことで言えば「こもる」という行為。何事からもいったん距離を置き、そして客観的に観察する経験が必要だと思ったからです。生活の糧を得なければならないという制約がある以上、修行僧のようにはいきませんでしたが、それでも社会について、人間について、そして自分自身について、見つめ直す事が出来ました。

『IM』復刊計画はまだ始まったばかりです。長らく「こもって」いたので、まずは人探しから始めなければなりません。『IM』を共に作ってくれるスタッフはもちろん、原稿執筆から広告までさまざまな面で協力してくれる人、そして『IM』の一番の支えとなる愛読者。いろんな人を探さなければなりません。

 もし『IM』に興味を持って頂けたならば、また復刊を歓迎して頂けるのならば、「来年夏に『IM』が復刊するらしい」と、あなたの周りにいる人に伝えてください。それだけで結構です。それだけで伝わる人には伝わるはずです。
もちろん直接声を掛けて頂ければ、それは身に余る光栄です。



『IM』復刊についての情報はホームページに随時掲載していきます。また『IM』について詳しく知りたいという方もホームページをご覧ください。またこのチラシが置いてある店やイベントのまわりには、『IM』の事をよく知る人が存在しているはずです。その人に聞けば『IM』についての生の情報(悪口かも・・・)も聞けるでしょう。
 ホームページのアドレスはhttps://identitymarket.net/(モバイル版https://identitymarket.net/k.html)です。



 愛に溢れ、すべての人が通じ合う世界が実現すれば、たぶん「主張」は要らないのでしょう。
 でも、人類がそこに至るまでには、まだまだ多くの壁を乗り越えなければなりません。
 多くの人はこう言います。「本当に大切なことは言葉では伝えられない」と。
 確かにそうかもしれません。
 しかし人間は言葉と共に生きているのです。言葉は誰でも持っています。どんな生活にも言葉があります。そして言葉は諸刃の剣。理解の礎にも戦争の元凶にもなるのです。

 政治の場において、教育の場において、そして一般社会の場において、言葉が疎かにされている。最近つくづく感じます。
 言葉をもっと大切にすること。それが平和への大切な一歩。
 そのために『IM』が少しでも役に立てれば・・・。
 私はいま、そう考えています。

2005年9月吉日
identity market 代表 宮原 春萌
<2005.8.7より知人に配布、2006.3.24より熊本市内のショップに配布(一部加筆修整)>

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