作況指数77。ヤバイとは思っていたが、ここまでの凶作とは・・・。しかもココ熊本県は全国ワーストワンと聞く。
秋田、新潟が悪いものの、東日本は豊作か平年並で全国平均も98。作付面積が前年より2%増えているから、単純に計算すれば収穫量はほぼ前年並。・・・つまり価格は上がらない。最悪の状況だ。
台風が多かったことに加え、日照不足なのに気温が高いという9月の天気の影響で、籾の発育不良が起こったという。
米だけではない。他の農作物も台風やカラ梅雨、長かった夏の影響をモロに受けた。最後の頼みの海苔ですら今年は出来が今一歩。農業受難の年である。
オレの仕事は印刷がらみ。農業とは関係ないと思われる方が多いだろう。
確かに直接は関係ない。ところが熊本県、特に県都熊本市は2次産業不毛の地。66万の人口を擁しながら工業を基幹に持たぬ都市なのだ。3次産業は盛んであれど、観光抜きの自己完結型。税収をもたらす大企業も今は無い。つまり1次産業の比重が高い。特に農業は面積僅か266平方キロ(※1)ながら生産額全国5位。専業農家数に至っては全国2位の高水準。その影響力は無視できないのだ。
農業が消費に影響する・・・実はコレ、自分で思いついた説ではない。10年前、まだ熊本パルコで働いていた時代、営業会議でしばしば耳にしていた言葉である。
転勤当初は「そりゃ売上ダウンのイイワケでしょ」と真に受けなかった。いくら農業人口が多いといっても、熊本市内では1万数千人。全市民の僅か2%でしかない。県トータルでは10万人強になるが、それでもたった6%。弱いと言われている工業でも1割弱。そして全市民の3分の1、就業人口比では8割弱の人がサービス業に就いているのだ。農業が景気に与える影響は微々たるものと考えるのが自然であろう。
だが景気というものは数字で計れるほど単純ではない。いや、「景気」の「気」は「気分」の「気」。気力、気品、気配、人気、天気、雰囲気、浮気(!)・・・「気」とは目に見えぬチカラ、数字で計れぬモノを指す。気分の原因を数値に求めること自体が既にナンセンス。景気とは景況指数(※2)でお茶を濁すぐらいしか出来ぬモノなのだ。
僅か2%といっても熊本市の農業は全国トップクラス。一方で10%弱の工業は特筆すべきものはなく影が薄い。サービス業は比率は高かれど、域内で完結した従属的なものばかり。つまり熊本市のアイデンティティは農業にあり、これがコケると心理的なダメージが大きく、景気にも響いてしまうのだ。
ともかくこれからが心配だ。スケジュールに余裕がない発注が増える等、
オレの仕事にも悪い兆しが出始めている。年末の繁忙期も例年よりも半月遅れ、ようやく来週始まりそうだ。たぶん忙しいのは12月だけ。年が明けたらしばらく商売にならんだろう。
・・・つまり12月に3ヶ月分働かんとイカンということ。こりゃ遊んでる暇なんかないわナ。さ、お仕事、お仕事・・・
(※1)この面積に熊本都市圏が収まるはずがなく、熊本市は3大都市圏を除くと福岡に次いで全国2位の人口密度(特例市以上88都市中)となっている。ゆえに工場やベットタウンも周辺の郡部にあり、本来ならこれを加えた数値を使うべきなのだが、本題ではないのでココでは省かせて頂く。
(※2)正確には「景況判断指数」だが、経営者への○×アンケートでしかないものを「指数」と呼ぶ事自体既におかしい。日経新聞の記事ひとつに左右されてしまう程度のあやふやな数値が、なぜこうも信奉されているのだろうか? ともかく「景況指数」が消費マインドに与えている悪影響は見過ごせない。「景況判断アンケート」と言い換えるべきだと思う。
<参考資料>
『九州農政局』>農林水産情報>農林水産統計
>熊本版>平成16年産水稲の作付面積及び予想収穫量(10月15日現在)(熊本版)
>九州版>平成16年産水稲の作付面積及び予想収穫量(10月15日現在)(九州版)
(2004、農林水産省九州農政局、2004年11月18日更新版)[http://www.kyushu.maff.go.jp]
『農林水産省』>施策の動き・情報>統計データ>農林水産統計情報総合データベース・最新データ>モノ別に検索・米>平成16年産水稲の作付面積及び予想収穫量(10月15日現在)[PDF]
(2003 The Ministry of Agriculture. Forestry and Fisheries of Japan[農林水産省]、2004年11月22日掲載版)[http://www.kyushu.maff.go.jp]
『熊本市』>経済農業雇用・農林水産業>熊本市の農業と水産業(2001 Kumamoto City[熊本市]、2004年11月20日更新版)[http://www.city.kumamoto.kumamoto.jp]