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レレレノレコード

KLAUS SHULZE Timewind

KLAUS SCHULZE

TIMEWIND


1975 Metronome Records (BRAIN)
1975 Virgin Records

1975 日本コロムビア YX-7057-VR

<TRACKS>
-Side 1-
Bayreuth Return [30'22"]
-Side 2-
Wahnfried 1883 [28'37"]
 宗教音楽というのなら話は早い。賛美歌、ゴスペル、聲明、念仏・・・。「みんないるよ。ひとりじゃないよ」と甘い言葉をかけてくれる宗教のスバラしさを演出する音楽は世界中どこにだってある。だが神に対峙する時・・・宗教への依存心を捨て神と1対1で向き合う時には、当然宗教音楽への依存も捨て去らねばならない。
 いかなる人間であっても神の前では独りにならなければならない。孤独に耐え己自身を見つめなければならない。「誰も助けないよ。自分でやりな」・・・依存心を完膚なきまでに打ち砕く冷徹な厳しい音楽。神前にあるべきはそういう音楽であろう。

 「このアルバムを埋め尽くす電子音の嵐。それは自己の意識を剥き出しにさせてしまう恐ろしい嵐だ。」「私の自己体験の変容へスピードをつけ私はそこできまって、最後の破壊的なカタストロフを悪夢のように恐ろしさとして経験してしまった」 日本盤のライナーノートで間章(あいだあきら=現在でも信奉者の多い伝説的音楽評論家・プロデューサー)はこう告白している。ケミカルを誤って心の穴埋めに使っているようなヤツがこの曲を聴いたら、間違い無く自爆してしまうだろう。初めて聴いて18年。長年選曲やDJをしてきたオレだが、この曲だけは決して回さない。トランスもトライバルもアンビエントも所詮“ヤバイ”音楽にしか過ぎない。しかしこの曲は、この曲だけは本当に危険なのだ。

 1975年の発表と同時に全世界に衝撃を与えたこのアルバム。“ジャーマンロックの重鎮”“シンセサイザーの大御所”クラウス・シュルツの作品であるが、そんなジャンル分けは全く無意味だ。シュルツについてここで語る必要もあるまい。独りで意識を集中し、大音量で一気に聴く。それだけでいい。
 (シュルツについて興味ある人はネットで調べて欲しい。さすが世界的巨匠。いくらでも情報が転がっている。ただしバイロイト音楽祭の次期総監督に選ばれたというのは誤報。同姓同名同年齢の別人と思われる。)

 間章はこの3年後、32才で急逝。シュルツは25枚組!CDをリリースするなど鬼の如き創作活動を今も続ける。そして、間もなくオレは32才をクリアする。


2002.2.14. 宮原春萌(identity market/SynSekai)


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