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熟蔵

真夏のドライブミュージック      (by amuro-H)

Side A
1.Good Vibration/PSYCHIC TV
2.港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ/ダウン・タウン・ブギウギ・バンド
3.Pipeline/THE VENTURES
4.風はいい奴/ザ・スパイダース
5.Let me take you to the beach/FRANK ZAPPA

Side B
1.Sexmashine/JAMES BROWN
2.Do you really want to hurt me/CULTURE CLUB
3.太陽に吠えろ・メインテーマ/大野克夫
4,It's christmas time/JAMES BROWN
5.Go-go swing/CHUCK BROWN &THE SOUL SEARCHERS


 設定は「近場の海へ海水浴」です。では出発!
 まずは定番Good Vibration、といつてもビーチボーイズをギャグでかけたら通用しなかった......では悲劇なので、サイキツクTVのパンクバ-ジョンで様子を 見ましょう。2曲目はDTBWB。あえてSASやTUBEをかけるというのも一興ですが、やはりリスクは避けてDTBWB。そして早くも“日米真打ち対 決”ベンチャ-ズvsスパイダース!・・・・・・ここまできて盛り上がらなければ、助手席の彼女は「素質なし」です。さっさと彼女持参のテープに替えま しょう。そして、A面の締めはフラック・ザッパ。こいつを入れておけばあなたの音楽性を疑われることはない、というアンパイを聴きながら海に到着。

 さて、泳ぎ疲れてまたまた車の中。
 ここでボサノバやジャズをかけるのは自滅行為です。あなたの期待とはうらはらに、口説く間もなく、彼女は深い眠りについてしまいます。ここは Sexmashineでサブリミナル効果を狙うのが正解。しかしこのままJBで攻めていっては“ストレートパンチな奴”と後々まで陰口を叩かれないので、 次はボーイ・ジョージで中和しましよう。もちろん曲は「君は完璧さ」。そして「太陽に吠えろ」。この曲さえあれば天草のサンセットも無敵です。さらに “ジーパン”から“スニーカー”まで、突っ走る刑事たちの思い出が、彼女の暴走を誘います。ここまでくればあとひと押し。クリスマスソングとひねりつつ も、JBのバラードをBGMにムードを作り、ラストのチャック・ブラウンで一気に攻めましょう。ちなみにこの曲は17分もあるので、曲が終わる頃には、も うBGMなんてどうでもよくなっていることでしょう。

<『KEROUAC Vol.4.1996』(1996.7.1発行)より転載、誤植箇所修正>



●解説●
「レレレノレコード」コーナーに載せた「Listen to the story of ……」と同じくフリーペーパー『KEROUAC』の為に書いたもの。こちらは「真夏のドライブミュージック」と いう特集で、真夏のドライブに持っていくカセットテープ1本を作るという設定になっている。 当初は「Listen to・・・」だけ引き受ける予定だったのだが、「集まった原稿が真面目過ぎて困ってる」ということで、急遽こちらも書くことに。だが「Listen to・・・」のアノ文章に加えてこっちもではチョイとでしゃばり過ぎ。というわけで、「amuro-H」というペンネームを使っている。
「amuro-H」は「Harumo」のアナグラム。気付いた人がいたかどうかは知らないが、一応覆面の義理は守り続けていたので、正体を明かしたのはココが初めてである。ちなみにオレがペンネームを使うのは極めて稀なことで、「amuro-H」名義で書いた作品はこれ一本きりである。なお「amuro」は「安室」とは掛けているが、ガンダムの「アムロ」は想定していない。
 本文については特に付け加えるべきことはない。今のオレからすると随分ひねて斜に構えているようにみえるだろうが、実はこちらの方が元来のオレのノリである。熊本に来て10年、今ではすっかり九州人ヅラをしているが、オレは生まれも育ちもご先祖サマも全て関東という生粋の関東人。良くも悪くも関東人の性格を引きずっている。ましてや当時は熊本に来て僅か1年半。直球を好む九州人に対し、それに合わせて直球を投げるのか?それとも関東人は変化球が好きなのだと開き直って変化球を投げるのか?それすらもまだ決めかねていた。ゆえに「Listen to・・・」 で直球を投げ込む一方、こちらでは変化球を投げたのである。
 今になって両者を読み比べてみると、変化球の方が投げ慣れていたということがよく分かる。だがその後のオレは、直球をダサイと思う東京臭い悪癖を克服し、直球一本で勝負するようになっていく。
 そして10年。変化球しか投げられないヤツこそが最もダサイ・・・そう考えている、似非九州人の、オレがいる。
(2005.1.31)



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